7 四つの署名

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作:コナン・ドイル 訳:中上守

シャーロック=ホームズの「緋色の研究」につづき、「四つの署名」を読んでみました。
私はのっけから衝撃を受けました。
なぜなら、ホームズが麻薬をしているところから始まるからです。

え、なんで??

という疑問で私はいっぱいでした。
悪い仲間ができたのかとか、挫折を味わって傷ついたのかとかそんな気持ちと、悪いことに手を染めてしまったホームズに対してドキドキするような気持ちで読んでいました。
麻薬をやっている理由はホームズらしいもので、ホッとしたような呆れたようなそんな感覚でした。
もちろんワトスンも止めるようなことを話してはいるけれども、ホームズには仕方のないと言えば仕方のないことなのかもしれません。(本来、どういう理由があっても許されるものではありません!!)

とにかく、そんな衝撃的な始まりです。

ホームズたちが事件に足を踏み入れるきっかけは「メアリ=モースタン」という女性の訪問によるものでした。
私はなんとなくワトスンとメアリは結婚するんじゃないかと思いました。
女性は
・父のモースタン大尉が失踪して10年近くが経過していること
・毎年、真珠が送られてくること
・今朝、ある場所に来るようにと、手紙が届いたこと

を話します。

ホームズとワトスンは女性と一緒に待ち合わせの場所に向かうことにします。
その途中に、彼女はある紙切れの話を伝え、現物をホームズたちへ見せるのです。
紙切れは平面図のようで、「四つの署名」として4人の名前が記されていました。
本のタイトル「四つの署名」が出てきたから、関係がある重要なものなのだろうと思いました。
ホームズも同じことを言っていますが、ここでは特に動きはありません。

そして、待ち合わせの場所につくと、御者の男が登場します。
この御者の馬車に乗り、ホームズたち3人はどこへ向かうかも分からぬまま出発します。
到着したのは「サディアス=ショルトー」の家でした。
サディアスの自宅で、話を聞く3人です。

サディアスの話は
・自分の兄「バーソルミュー=ショルトー」に会わなければならないこと
・自分の父は「ジョン=ショルトー少佐」で「モースタン大尉」と友人であったこと
・父は何かに恐れていたこと
・父が義足を付けたなんでもない男をピストルで撃ったこと
・モースタン大尉の死の真相、宝を手に入れた過去、宝をやるべき孤児がいたと父から聞いたこと
・父は病気で亡くなったこと
・父が亡くなった翌日、胸元に「四つの署名」と書かれた紙切れが置いてあったこと

などでした。
その話を聞いたメアリはショックを受けていました。
なんの覚悟もない状態で父が亡くなっていたことやその経緯を知った彼女を思うと、かわいそうだと思うばかりです。
失踪ということだけでも気が気じゃないような生活を送っていたと思います。
望みはわずかかもしれないけど、無事を祈っていてホームズに依頼を出したのに父はなくなっていると聞かされて、辛かったろうと思います。

一方でホームズはサディアスの話を聞いてどうやらワクワクしていたようです。
ホームズが麻薬を打っていたのは、簡単に言えば、頭をひねるようなことに出会えない退屈さがあったからです。
そんな彼からすれば、この件は久しぶりにゲームを買ってもらった子どもと変わらないくらいの話だったかもしれません。

亡くなったショルトー少佐は手に入れた宝を隠したままでした。
息子のサディアスとバーソルミューは宝を探していましたが、なかなか見つかりません。
サディアスは宝をメアリにと考えていましたが、バーソルミューはそんなこと考えていませんでした。
昨晩、急展開があり宝をバーソルミューが見つけました。
そのため、サディアスはメアリに宝の分け前を渡したいということでメアリは招かれたのです。
だけど、バーソルミューは宝をメアリに分け与えてくれるのでしょうか。
物語の多くはそんなうまくいかないだろうと思いました。

そして、ホームズたちとサディアスは兄のバーソルミューの家に向かいます。
到着すると、予想を通り越したことが起きていました。
バーソルミューは殺害されていたのです。
現場にはまた「四つの署名」と書かれた紙が残されていました。
現場の調査をしたホームズはもう犯人はほぼ分かっていたようでした。

犯人の名前は紙切れに記してあった4人の男のうちの一人、ジョナサン=スモール。
義足を付けていると推理しました。
現場の状況や、これまでの話、そして4人の男の名前からおおよそどこの国の者かというので推理したようです。
相変わらずすごいなと思いました。
なんでそんなことが分かるんだろうと思って、ホームズの推理を読み進めるとなるほど!!と思います。
だけど、相当な知識がないとそんなの無理だと思います。

それから犯人追跡を始めます。
とても鼻の利く犬を借りて、犯人を追いかけますがこれは失敗に終わります。
それでも犬は素晴らしい能力を発揮しました。
犯人の居場所は突き止められなかったけど、ランチ(船)で逃げたということは分かったようでした。

ランチの行方を捜すのにはベーカー街特捜隊の力を借りました。
ベーカー街特捜隊とは浮浪児たちのことです。
子どもたちだと怪しまれず事件の捜査をすることができるので、ホームズはよくこのベーカー街特捜隊の力を借りています。
もちろん、きちんと報酬を渡して。

しかし、ベーカー街特捜隊は有力な情報をつかめずにいましたので、ホームズはがっかりしていました。
そのため、ホームズは自分も外に出かけていきました。
ホームズとワトスンはルームシェアをしているのですが、ホームズが出かけている間、ワトスンは1人で部屋にいました。そして、客人が2人。
1人はこの事件を捜査する刑事さん。
もう一人はホームズに話があるとやってきた老人です。
老人はホームズがいないとわかると帰ろうとしましたが、刑事がそれをさせませんでした。
しかし、なんとその老人は変装をしたホームズだったのです。
また、ホームズには驚かされました。
いつも一緒にいるワトソンまでも騙す変装だなんて、名探偵コナンでの変装もここからきているのかと思いました。
変装をすることで、顔が知れているホームズは難なく捜査をしていたようです。

それにしても、家に帰っても変装しているなんていたずら好きだなと思いました。
コナンの父母のようです。

ホームズとワトスン、そして刑事さんは速度の出るランチや腕っぷしの強い男などを準備して、犯人・ランチを捕まえに出発をしました。
犯人が乗るランチ「オーロラ号」を見つけ、追跡する場面はとてもハラハラしました。
オーロラ号に追いつくために火を燃やし、オーロラ号までの距離が短くなってもう少しだというところで、他の小舟にぶつかりそうになったり、犯人側のランチから毒矢を吹かれたりして、本なのにこんなに臨場感を味わえたことに感動しました。
吹き矢を吹いた男はピストルの弾が命中し、川底に沈んでいきました
オーロラ号は岸にたどり着き、ホームズが追っていたジョナサンスモールはランチから降り、逃げようとしましたが沼にはまってとうとう捕まってしまいました。

ワトスンは、宝箱をミスモースタンのところへ持っていきました。
そして宝箱を開けましたが、なんと空っぽでした。
スモールが川へ放り込んでいたのです。
残念なことだったのですが、ワトソンにとってはとても良いことで、ミスモースタンに「愛している」と伝えました。
ワトソンはミスモースタンに好意を寄せていたのですが、宝が目的だと思われるのを恐れていたのです。
その宝が結果的に空だったことで、ワトスンは本当の気持ちを伝えることができました。
良かったですね!!

スモールは事件を起こしてしまった理由を話します。
(ホームズがバーソルミューを殺害したのはスモールではないと推理している通り、スモールの目的は宝でした。亡くなってしまっているショルトー少佐には恨みがありましたが、バーソルミューを殺害するつもりはありませんでした。一緒に行動していた男(毒矢を吹いた男)がバーソルミューに見つかってしまい殺害してしまったのです)
簡単に話すと、昔、スモールと他3人の男は宝を手に入れましたが、囚人となってしまいます。
スモールはモースタン大尉とショルトー少佐と仲良くなり、二人にも宝を分配するので自分たちを逃がしてくれという約束をします。
しかし、ショルトー少佐は裏切って、宝を独り占めしてしまいます。
このことが原因で、スモールはショルトー少佐を憎んでいました。
スモールの恨みを晴らすことなく、ショルトー少佐は亡くなってしまいます。
結果、バーソルミューまでも殺害されることとなり、スモールの恨み以上のことが事件として起きてしまいました。
殺害されたバーソルミューはかわいそうだなと思います。
また、死んでしまった毒矢の男は頭が悪かったんだと思います。
バーソルミューを殺害する以外にも方法はきっとあったはずです。
でも、実際に起こったことならいたたまれないけど、おかげで物語としては面白くなっています。

そして、最後にまたホームズは麻薬の瓶を取ろうとして話は終わります。
ホームズはこの後麻薬を打ったかどうかは分かりませんが、私はたぶん打っただろうと思います。
頭をひねらせ解決した彼には退屈な毎日が待っているからです。
願いとしては打ってほしくないけれど、きっと彼はそうしたと思います。

ホームズはそういう男なのだろうと、今のところ感じています。

では、また。

ムンギ

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